着物コラム

【着物通信vol.8】手縫いとミシン縫いの違い

着物を作る時の製造工程はとても複雑ですが、今回はその中でも縫う工程に着目していきます。
縫いには二つの手法があり、手縫いとミシン縫いという二つの縫い方に分かれます。
それぞれメリットとデメリットがありますが、どちらで縫われた着物を買うかによって後々にまで影響がありますので、今後着物の購入を検討されている方はぜひご参考にしてみてください。





手縫いとミシン縫いの違い

手縫いの着物の縫い目
手縫いの着物の縫い目。手縫いは基本的に一本の糸のみで縫われている。
ミシン縫いの着物の縫い目
ミシン縫いの着物の縫い目。糸を上糸下糸の2本を使い、強度を最大限まで高めている。

元々は全ての着物は手縫いで作られていましたが、近代化に伴いミシンが登場してからはミシン縫いで作られる着物も増えてきました。

ミシンが普及し始めたのは明治時代といわれていますので、それまでに作られた着物の多くは手縫いだといえます。

終戦後、既製服が日本の主な輸出品となって以降からミシンが爆発的に普及しました。

家庭用ミシンもその後すぐに普及したといわれています。

ミシン縫いと手縫いで、両方とも強度を出すという目的は一緒なのですが、アプローチの仕方が違います。それぞれの違いをみてみましょう。

手縫いの特徴

手縫いは基本的に一本の糸のみで縫われており、頑丈にするために負荷を逃がす設計がなされています。

針を斜めに入れて布への負荷を少なくし、縫った跡に張る目に等しくゆるみを入れていくことで遊びを作っています。

ミシン縫いの特徴

ミシン縫いは布に対して直角に針を入れていき、糸を上糸下糸の2本を使い、大きい針で挟むように縫うことで強度を最大限まで高めています。

布地を貫通するかどうかも手縫いとミシン縫いは仕上がりが異なる

ミシンを使うと針が布地を貫通するため、どうしても縫い目が表に残ります。

しかし、手縫いの場合には人の手で行うものなので力の加減ができるので表に縫い目を残さず縫うことができます。

具体的には三つ折りくけや本くけ※1という手法です。

手縫いとミシン縫い、それぞれのメリットデメリット

手縫いのメリット

手縫いのメリットは手作業により力の按配ができるので強く縫うところと弱く縫うところが組み合わさり、着心地がいい着物が出来上がります。

さらに仕立て直しができるのですが、着物はもともと仕立て直しを前提に作られており糸を解いて仕立て直しをすることでサイズ調節をし、長い間使い続けることができます。

生地が痛むと長襦袢として用いたり、布団に使ったりすることもできるので、着物はリサイクルできるものなのです。

また、負荷を逃がすように縫っているので生地が裂けるということがありません。

生地が破れる前に縫い糸が千切れるというつくりになっており、機能面においても実に考え抜いて作られているだけでなく、再度縫い直しをすることで改めて着物を着ることができます。

ミシン縫いのメリット

ミシン縫いのメリットはなんと言っても丈夫なところです。

着物を日常的に着る人にとっては、丸洗いしたいという方もいらっしゃるかと思います。

そのような際に手縫いでしたらほどけてしまう可能性があるのですが、ミシン縫い仕立てで頑丈に作られた着物は解ける心配がありません。

週に何度も着られる方は縫いの方が手入れが楽でしょう。

ミシン縫いのメリットのもう一つは値段で、手縫いに比べて比較的安価なものが多く丈夫なため、何着も必要な場合ですと手縫いでは1着あたりの値段が高いので都度購入するのも難しいですが、ミシン縫いならばたくさん購入する場合でもそこまで負担になりませんね。

手縫いのデメリット

手縫いのデメリットとしては、何度も洗って負荷がかかり薄くなった箇所が破れやすいです。

破れるといっても、手縫いの場合は上述のように生地は破れず、先に縫い糸が千切れるので、縫い直しが可能ではあります。

しかし、自分で縫い直すと失敗する可能性もありますし、業者に頼むとお金がかかります。

そしてやはり、手縫いで仕立てられた着物は代金が非常に高価になっています。

ミシンが普及してから大量生産が可能となったため、やはり比べてしまうと値段には大きな差があります。時間もミシンと比べて長くかかります。

最近では海外に工場を構え、手縫いをすることで費用を抑え、安価で高品質な着物を提供するところも増えてきましたが、やはりミシン縫いと比べると比較的高価となっています。

ミシン縫いのデメリット

メリットの部分で書きましたが、ミシン縫いをした着物はとても丈夫に仕上がります。

しかし、それにより着物の布地に針穴が残ってしまい、それにより仕立て直しができなくなるというメリットが生まれます。

元来着物は汚れると全部糸を解いて反物の状態にしてから洗います。染め直しをしたい時も糸を全て解いてから作業が始まります。

仕立て直しをすることによって保存状態によっては3代にもわたって引き継がれるような代物にもなります。このような着物の利点である仕立て直しが、ミシン縫いの際にはできなくなってしまう点がデメリットです。

手縫いとミシン縫いの違い:まとめ

手縫いとミシン縫いの違いを紹介しましたがいかがだったでしょうか。

どちらが優れているかという話ではなくそれぞれ良さが異なりますので、着物をどのように着たいのかという事を踏まえて、自分にあった着物を探してみてはいかがでしょうか。

※1 三つ折りくけと本くけ・・・くけ(縫い)とは和装で用いられる縫い方です。織った布と布を縫うことをさし、イメージはまつい縫いに近いです。本ぐけは双方の布端を折り合わせて縫う方法です。それに対して三つ折りぐけは布端を三つ折りにして折り山の内側の部分から針を出し、縫っていく方法です。本具家でやると縫ったときの糸が表から見えなくなり、三つ折りぐけでやると表からのみ少しだけ見えます。それぞれ綿入れの袖口、単衣の袖口等で使用されます。
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