着物コラム

【着物通信vol.2】落款は着物の作者や作りを示す重要な証明

みなさんは落款をご存知でしょうか。落款とは落成款識(らくせいかんしき)の略語です。芸術品を作成した際に日時や記名、識語を書き付ける行為のことです。領収書や公式文書、有名書画に主に落款が押されているのですが、実は着物にも押されています。今回は、知っているようで知らない「落款」についてご紹介します。

着物の落款の示す意味や記されている位置はどこ?

着物の落款の示す意味や記されている位置

着物に記された落款の示す意味、それは「作家が仕立てた証である」ということです。

落款があることで作者や製作工房を特定できるので、それが有名な作品だとわかれば価値を知ることができます。

また、数ある着物のなかでは同じようなデザインの着物がいくつかあるということがよくあります。

その際に落款を見て、類似作品を見分ける際の判断材料とすることが可能なのです。

そして落款の位置について、おくみか衿先に刻印されている場合がメインとなっています。

作家名を踏襲した場合など落款に違いが出る

作家名を踏襲した場合など落款に違いが出る

着物が好きな方なら久保田一竹(1917~2003)という名前は一度耳にしたことがあるでしょう。世界的に有名な染色家であり、一竹辻が花の創始者です。

彼は室町時代~江戸時代初期に存在していた、絞りを用いた花柄である辻が花を一目見て、その美しさに魅了されたことがきっかけで着物作家の道に進みました。

シベリア抑留、復員などを経て研究に没頭し、極貧生活を送りながら60歳になって最初の作品となる「一竹辻が花」が誕生したのです。

そこから世界中に辻が花の魅力が伝わり、今では一竹の作品は何十万、何百万という価格で取引されるようになりました。

初代はもう亡くなってしまいましたが、その技術や想いは二代目が承継しています。

作風は初代を踏襲しており見分けるのが困難ですが、落款は異なるので見分けることが出来ます。

以下をご覧下さい。

初代久保田一竹の落款
二代目久保田一竹の落款

上が初代の落款、そして下が二代目の落款です。

初代と比べて二代目はややテイストにも若干の違いが生じています。

このように、落款についての知識があるだけで作品の違いを見分けることが可能になるのです。

柄だけでは見分けのつかない着物も落款を知れば違いがわかる

着物は長い歴史の中で、日本の各地域で独自の発展を遂げました。

そのため同じ種類の着物であっても染め方や織り方、そして柄に違いが現れますが、素人ではなかなか見分けるのが難しいと言われています。

着物の中で有名な友禅もその一つ。友禅とは布に模様を染める技法のひとつで、本来はでんぷん質の防染剤を用いた手書きの染色の事を指します。

江戸時代、奢侈禁止法により絞りや刺繍などの技法が禁止となり、扇絵師の宮崎友禅斎が手書きで柄を書いたことから始まった技法です。

代表的な友禅といえば京友禅、加賀友禅、東京友禅、十日町友禅などで、今回はその中でも代表的な加賀友禅や京友禅に注目してみましょう。

京友禅と加賀友禅はどう違う?

加賀友禅とはその名のとおり、加賀百万石の城下町だった金沢市を中心に産する手書き友禅染です。古くからある加賀染(お国染)や御所紋(加賀紋)に糸目糊の技法を加えた形となっています。

京友禅は江戸時代の元禄年間、町人の文化が栄えたときに生まれました。白い絹織物に絵を描き糸目糊を使って染めた後鮮やかな色彩を出すために水でさらすのが特徴です。

近年の傾向として、柄が似ている加賀友禅と京友禅が多く見受けられます。両流派とも宮崎友禅斎をルーツとして完成度の高い作品ばかりですが、一目見ただけでな見分けるのが困難なものもあります。

ここで見分けるポイントにしたいのが落款の知識。「落款の違い」によって作者が明確となるため、あとから落款帳を確認することで友禅の種類がわかるのです。

特に加賀友禅に関しては作者全員の落款を記録してある落款長がありますのでそれと照らし合わせることで加賀友禅か否かが判明します。このように、落款とは作品を鑑賞するうえでとても大事なことなのです。

落款を見る上で押さえておきたい注意点

ただし落款を見る上で一つ注意しなければならないことがあります。あくまで落款はサインでしかなく、久保田一竹のようにある程度デザインが統一されているサインもあれば、個人レベルでサインがまったく異なる例もたくさんあります。

ではどのように見分ければいいのでしょうか。下記の写真をご参照下さい。

加賀友禅
京友禅
    

上が加賀友禅、下が京友禅となっております。京友禅と加賀友禅の大きな違いは箔や刺繍を使用しているかどうかという点です。

京友禅は箔や金糸銀糸を多用して重厚かつ荘厳な雰囲気をかもし出しているのに対し、加賀友禅は染色という行為自体に柔らかさと豪華さをこめた作風です。

京友禅は加賀友禅よりも豊かな色彩が用いられており、絵画的に動物や器物を表現する友禅模様と呼ばれる文様を使っています。豪華絢爛で、とても煌びやかな様子がお分かりいただけるでしょうか。

それに対して、加賀友禅のほうが染だけで仕上げている分、優しさを感じさせることが見て取れるかと思います。

加賀友禅は加賀五彩とよばれる藍、臙脂、黄土、草、古代紫の五色を基調とし虫食い柄やぼかしが使用されています。以上がわかりやすい見分け方となります。

落款について:まとめ

今回は落款について解説をしましたが、いかがだったでしょうか。

一流の作家によって作られた着物にはほとんど全てに落款があります。しかし、気をつけなければいけないのは、上記で申し上げたとおり落款はあくまで「自分のもの」という証明でしかないということです。

有名な作家の作品=落款ありでも、落款あり=有名な作家の作品、というわけではありません。いうならばハンコと同じようなものなので、素人でも押せてしまうのです。

落款があるものを見つけた場合は判断を急がず、丁重に保管した上でまずはプロの鑑定士にご相談してみるのが得策でしょう。

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